人材派遣は「労働者派遣法」で定められた一定のルールを守っておこなわれています。労働者派遣法は人材紹介に関わる「派遣スタッフ」「派遣元」「派遣事業先」の三者のうち、個人である派遣スタッフを保護すること、そして、派遣事業が適正におこなわれることを目的としています。派遣元、派遣先企業のそれぞれの責任を定め、派遣スタッフが安心して働ける就業環境を守るための法律です。
働く上で知っておいた方がよい知識をまとめました。
お時間ある時にぜひご一読ください。
豆知識
法律について
派遣元の主な責任
- 各人の希望及び能力に応じた就業の機会、及び教育訓練、キャリアコンサルティングの機会の確保
- 適正な派遣就業の確保
- 就業条件の明示
- 受け入れ期間制限の適切な運用
- 安全衛生管理及び社会保険の適用促進
- 派遣先による事前面接行為に対する協力の禁止(紹介予定派遣を除く)
- 性別・年齢などによる差別的な取扱いの禁止
- 労働関連法規の遵守
- 賃金の支払い・有給休暇の付与
- 苦情処理の適切かつ迅速な対応 等
派遣先(就業先企業)の主な責任
- 派遣契約に定める就業条件の確保
- 受け入れ期間制限の適切な運用
- 事前面接行為の禁止(紹介予定派遣を除く)
- 苦情処理の適切かつ迅速な対応
- 勤務時間、休憩時間などの確保
- 安全衛生管理及び社内コンプライアンスの管理、セクシャル・ハラスメントの防止等、適切な就業環境の維持 等
期間制限について
労働者派遣法では派遣労働者が同じ派遣先で働ける期間の上限が定められています。
①派遣労働者個人単位の期間制限
派遣先の同一組織で働ける期間は最長3年となります。途中業務内容が変更になった場合も組織が変わらなければ最長3年に変更はありません。組織が異なれば同じ人の派遣が可能です。
※最長3年とは、開始から3年を約束するものではありません。
②派遣先事業所単位の期間制限
同一の派遣先の事業所に対し派遣できる期間は原則3年が限度となります。派遣先が3年を超えて受け入れようとする場合は、派遣可能期間の終了の一ヶ月前までに派遣先の過半数労働組合等からの意見を聞く必要があります。
守秘義務について
派遣先で知り得た情報は義務として外部に漏らす事を禁じられています。故意ではなく不注意による場合でも、違反した場合には厳しく責任を問われる事となります。法律上でも情報漏洩に関しては厳しい罰則が課されることとなりますので、普段から十分に気をつける必要があります。
守るべき守秘義務
- 派遣先の企業情報
人事、組織、技術、開発、製品、取引先、売上高 等
- 個人情報
住所、氏名、電話番号、メールアドレス、経歴、婚姻歴 等
注意事項
- 不用意な情報の収集、無断使用、業務上知り得た情報の社外持ち出しの禁止。
- 第三者への情報開示、漏洩の禁止
- 許可なく情報を複製、複写することの禁止
- 業務以外の目的でのコンピュータ、私用メール、FAXの使用の禁止
- パスワードの漏洩の禁止
- 離席時には書類を伏せ、コンピュータは離席モードにする
- エレベータ内を含む社内、食事中などでの何気ない会話にも注意を払う
- ブログやSNSなどインターネット上での情報発信にも機密情報が含まれていないか細心の注意を払う
- 情報が記載された書類を処分する際にはシュレッダーを使用するなど、就業先が定める方法で廃棄する
社会保険について
社会保険の加入のためにはいくつか資格があります。こちらでは保険の種類と加入資格についてご解説します。社会保健適用事務所で雇用されたスタッフは保健加入が義務付けられています。保険には以下の種類の保険があり、加入するための資格がそれぞれに定められています。
保険の種類
健康保険
本人や家族が、病気や怪我をして通院・入院等をする場合や、それがもとで会社等を休み、給与の支払いを受けられなかった場合などに必要な医療給付や手当金が支給される保険です。業務外の病気や怪我で連続4日以上欠勤した場合には、「傷病手当金」が受けられる場合もあります。
厚生年金保険
病気や怪我のために障害を負った場合や、不幸にして死亡した場合、高齢者になった後に年金を中心とした長期の保険給付や一時金の支給が受けられる保険です。
介護保険
社会全体で介護を支えるために市区町村が運営主体となって介護サービスの利用に使う保険制度です。
加入資格
健康保険、厚生年金保険、介護保険の加入資格
- 長期就労(2カ月以上)が確定している方(※一部例外があります)。
- 1週の所定労働時間、及び1カ月の所定労働日数が他の従業員の3/4以上の方。
- 上記の期間満了後、ほぼ継続して当社スタッフとして次の就労をする場合は、次の期間が2カ月未満でも加入対象となります。
- 健康保険被保険者のうち、40才以上64才までの全ての方が介護保険の被保険者となります。
雇用保険の加入資格
- 31日以上引き続き就業見込みのある方(31日未満であっても契約書に雇い止めの明示がない場合)。
- 1週間の所定労働時間が20時間未満の方。
税金について
派遣社員として働く上でも必ず税金を納める義務があります。給与支給にあたり、所得税や、確定申告など、税金の扱われ方についても知識を持っておくと有利です。
所得税について
通常、給与の総支給額から所得税が控除されます。月々の所得税は、国税庁の「電算機を使用する場合の計算式」により計算された税額が控除されます。年税額は年末調整、または確定申告により確定されます。
扶養控除等申告書について
所得税の控除を受けるために提出する書類が「扶養控除等申告書」です。扶養親族の有無、収入源の多少に関わらず、国内において給与の支払いを受ける方は全員提出する必要があります。年の途中で記載内容の異動(変更)があった場合は、再提出する必要があります。また、この申告書を提出しないと所得税の源泉徴収の段階で受けることのできる諸控除が受けられない上、所得税計算方法が税額が高い「乙欄適用」となるので、注意が必要です。
甲欄・乙欄とは?
甲欄とは所得の中の主たる給与に対して適用される税率のことを言います。乙欄とは、所得の中の主たる給与以外の収入に対して適用される税率です。「同時期に2カ所以上の会社で給与の支払いを受けている方」や「他社に扶養控除等申告書を提出している方」は詳細資料を提出した上で、変更の手続きが必要となります。
年末調整について
年末調整とは、その年の年収が確定する年末におこなう所得税の調整手続きです。年末調整はその年の最後に支払われる12月分の給与で行うため、この間にお仕事された方が対象となり、対象者には必要書類が郵送されます。
年末調整対象者
- 「扶養控除等申告書」を提出されている方
- 年末調整が実施される12月にその年の最後の給与が支払われる方等
※但し、11月1日以降に仕事がスタートする方は、11月中旬が年末調整必要書類の提出期限となるため、対象外となります。
源泉徴収票について
通常、源泉徴収票は、就業中の方の場合、年末調整の対象の有無に関わらず、12月支給(11月就労分)の給与明細書送付時に同封され、年度途中での退職者の方には、勤務最終月の給与明細といっしょに送付されます。年末調整の対象外の方は、各自で確定申告する必要があります。